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大地震でおこる火災の特徴

 大地震のとき、さまざまな原因から火災が起きますが、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)では、従来の地震に伴う火災と異なる点がみられました。それは、季節や時間帯にあまり関係なく発生したと思われる火災原因が多かったことです。すなわち、兵庫県南部地震において、

  • 同時多発火災が起きた。また、数時間、数日たってからの出火も多くみられた
  • しばらくたってからの火災は、再通電によって、電気ストーブや観賞魚用ヒータのような発熱体部分や、発熱電球の過熱が原因で出火、断線したり傷んだ電気コードから火花が発生、異常な発熱により出火によるもの(これを一般には、「通電火災」と呼んでいるが、上記の大きな火災も、通電火災のひとつとされる)などがみられた

といった火災が起きました。さらに、消防研究センターの室崎益輝所長は、

  • 地震直後に起きた大きな火災(とりわけ火源が「不明」とされていた火災)では、地震直後の電力自動復旧のための自動再通電による電気の火花等が、漏えいしたガスに着火したことによって火災が発生した
  • 市街地の大火の原因としては、(重要なものから)
    • 木造密集
    • 同時多発火災
    • 断水、水利不足
    • 消防の駆け付け障害
    • 市民消火等の欠落 他
  • 意外にも、耐火造からの出火も多く、延焼にも関与している(外壁やパネルの落下で空気が供給される、防火設備に耐震設備が備わっていないことから、スプリンクラーや消火栓等は、3、4割が動かず。防火防煙扉も全く動かなかったので煙を防ぐことができなかった。窓から窓に火がうつる、等。)
  • 住宅内での死者がほとんど
  • 延焼が小さくすんだ(たまたま風がなかった、家がつぶれ空気の流通が悪くなった、耐火造が普及していたこと等)

と、指摘しています。加えて、市街地、たとえば首都直下地震に関しては、

  • いま、首都圏は、関東大震災のときより、密集市街地がずっと連なっていて、延焼が心配されること
  • 首都直下地震の被害想定が風速15メートルとなっていて、この風はめったに起きないと言われているが、実は風速6メートルをこえれば、風速15メートルとほぼ同じ現象が起きるであろうこと
  • 高層ビルの震災火災に備える必要があること
  • 災害は日々、進化していること。同じことが起きるとは限らないこと

等と、警鐘を鳴らしていらっしゃいます。
 これらを踏まえると、首都圏に限らず、名古屋や大阪などの都市部において、個人でできるレベルから、街全体で取り組むレベル、また国が取り組むべきレベルなどが見えてきます。まず、個人としては、

 <ふだんから>

  • 家は倒壊しないように、耐震強化する(倒壊した家では、通電時に電気機器やコンセントがどういう状態かを確認できないこともあり、出火しやすいともいわれている)。
  • (資金に余裕があれば)家の耐震強化と同時に、防火補強も行う。たとえば、隣の家と接しているところでは、雨戸(材質は金属)をつける、網の入った窓ガラスにする(火は、窓ガラスから侵入してくる)、敷地に余裕があれば、木を植えるといったことも有用
  • 家具は倒れないように、固定したり、設置場所、方法に注意する(電気コードや電気器具を破損します)
  • 上部には、可燃物や落下物を置かないように注意する
  • ふだんから使っていないコンセントは抜いておく
  • 室外のガス管にマイコンメーターがあるかを確認しておく(ついていれば、大きな揺れで自動的にそこでガスが止まりますから、火をあわてて消す必要なく、自分の身の安全の確保を優先することができます)
  • 石油ストーブや熱を発する電気器具は、いざというときの設備がついたものにする。たとえば、石油ストーブは必ず対震自動消火装置があって油もれしない構造のものにする(電気機器でも、安全装置が働いたあと、容易にスイッチが入らないものも出ているので、そのような機器を選ぶ)
  • 消火器を置いておく(地域に、あるいはご家庭に)
  • 分電盤の場所を知っておく
  • 漏電ブレーカー、感震ブレーカー、感震コンセントなどの使用を検討する

 <地震がおきたら>

  • 激しい揺れを受けた地域では、地震直後、速やかにブレーカーを落とし電気の供給を断ち、様子をみる
  • 地震直後はガスのにおいに気をつけ(自宅以外で配管の破損もある)、火の使用は、とりあえず控える(たばこの火や金属をこする行為(換気扇、照明等のスイッチ等)にも注意。ガスに触れれば引火・爆発する
  • 避難(自宅を離れる)のときには、必ず電気のブレーカーを落とす
  • 電気の復旧時には、電力会社から通知があったり、住人と連絡がつかない場合には各戸の電線の切断もあるので、協力をする
  • 万一、火が出たら、近所に大声で知らせ、燃え広がる前に一緒に協力をして消す(初期消火)
  • 地震から数日間は、注意をはらう(特に住民が避難所に行って、町に人が少なくなるときの出火が心配)

といったことが大切です。
 また、火災に強い街をつくることも必要です。たとえば、
商店街では、火が軒先きのホロを伝っていくことも多くあります。火がまわる前にホロを取りはずしたり、火が入ってこないように、入り口や窓にトタンや雨戸等の金属のものを立て掛けたりすることは効果的です。商店街や地域全体で防火に取り組むことができれば、少しでも火に強いまちにすることができます。
 街なかでは、 火の遮断帯となるように、住宅間に樹木を植えたり、グリーンベルト、せせらぎといった火災に強い街づくりも必要です。阪神・淡路大震災のような火災では済むとは限りません。ならば、人々は、まとまった空間(たとえば広域避難場所や大きな公園)に逃げ込む必要も出てくるかもしれません。そういった空間も備えとして必要です。
 国においては、地震直後の自動再通電における同時多発火災が起きない技術の開発と、ビル等の消防設備に耐震設備を備わせることも必要となります。
 なお、2004年の新潟中越地震では、阪神大震災のときの教訓をいかし、通電火災を防ぐために、避難のときにブレーカーを落としたり、停電した地域に通電を再開する際、居住者等が不在の場合には電力計の手前で電線を切断するなど、通電火災対策が講じられたことから、通電火災は発生しませんでした。

 地震時の火災は、現段階では、防げるものと防げないものがありますが、都市部では関東大震災を超える火災も想定されます。ぜひ、できることから取り組んでいただけたらと願っています。


 主な参考文献:総務省消防庁「地震時における出火防止対策のあり方に関する調査検討報告書」>>消防防災博物館内にあり、検索できます
        神戸大学 都市安全研究センターMURオープンゼミナール 
            第79回 首都直下地震の火災危険に備える(室崎益輝氏) 
        日本損害保険協会「ぼうさいカフェ〜みんなで語ろう!明日の安心〜」第2回
           <火災対策> 覚えよう! 火災から身を守る術を(司会:吉村秀實氏、ゲスト:室崎益輝氏)
         神戸市消防局「阪神・淡路大震災における火災状況神戸市域」
         (財)神戸市防災安全公社、東京法令出版株式会社(1996/8)

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