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トップページ  大災害のときの常識集  ガスが使えない

都市ガスの被害は、その多くが家の近くで出ました

都市がす供給の流れ。ガス製造工場からだんだん圧力を落として各家まで届けられます。被害が集中したのは、地区ガバナと呼ばれる整圧器から先の各戸に届けられる一歩手前の間です

 都市ガスは、上の図に示したように、圧力を下げて私たちの家まで届けられていますが、現在では、いくつもガスの流れを遮断できる装置がついています。まず、一番、身近なところでは、各戸についているマイコンメータの自動ガス遮断装置。震度5に相当する揺れで、自動的にガスをストップします。さらに、低圧導管、中圧導管の各ブロックにおいても、ブロック別に大きな揺れを感知(SIセンサー)して遮断したり、地盤の違いにより遮断されない場合に備え、遠隔操作で遮断できる仕組み(ESV)を整え、さらに万一の場合には、供給指令センターから無線で工場のコントロールセンターへ連絡し、ガスの製造・送出を止めることにしています。
 阪神・淡路大震災後に、各ガス会社において、装置や遮断システム、監視体制などが大幅に強化されましたが、震災当時でも基本的なガスの流れは、ほぼ変わりありません。
 大阪ガスの被害状況は次のとおりでした。

図の凡例

  • 主要な製造施設や高圧ガス導管には被害なし。
  • 中圧ガス導管の被害も軽微。
  • 低圧ガス導管や個人宅などのガス管は、兵庫地区を中心に、大きな被害が発生。
  • 二次災害防止のために、兵庫地区を中心に5ミドルブロック、約860,000戸(全顧客数15%)、導管延長5310km(全延長の約14%)の供給を停止した。
  • 淡路島洲本市では、都市ガスの埋設管からガス漏れによる一酸化炭素中毒で一家4人が死亡した。
  • 神戸市では、 地震に関係あってガスに関する火災は4件 。出火原因の内訳は、
    • ガスこんろから出火、2件(使用中のものと、地震発生約9時間後にガスコンロに火をつけ漏れたガスに引火)
    • 風呂がま(種火がついていた)から出火、1件
    • 都市ガスボイラー(使用中)から出火、1件
    • その他、出火原因を「不明」とするもののなかで、聞き取り情報によってガスに関係すると推定されている出火が、16件(あくまで推定)

 ガス施設に関する物理的な被害の状況を、詳細にみると次のようになります。

  • 都市ガス設備のうち、製造所、供給所、ガバナー、高圧幹線など上位設備には、地震による被害はなかった。被害が発生しなかった理由の一つとして大規模な供給施設が液状化地域に設置されていなかったことも指摘された。
  • 中圧導管が106箇所も被害を受けたのはこれまでになかったことである。病院・斎場等の社会的に重要な施設へ直接供給している中圧導管が被害を受けた。ただ、その大半は継手の緩みや漏れなど、さほど深刻な被害ではなかった。いずれも河川、水路、池の近傍、活断層付近などで被災しており、地盤条件も一因である。なお、道路盛土崩壊や道路陥没などの大きな地盤変状の影響を受けたが、管は大きく変形するに止まり、ガス漏れには至らなかった。橋梁に添加された橋梁管についても、液状化側方流動に伴う護岸崩壊の影響を受けた事例もみられたが、管は大きく変形したもののガス漏れは発生しなかった。溶接接合鋼管が優れた耐震性を有していることが実証された。
  • 神戸高速鉄道駅舎部分の陥没、第2神明道路盛土の崩壊などの被害も受けたが、ガス漏れはなかった。
  • 低圧導管や個人宅などのガス管は大きな被害を受けた。26,459箇所で被災。しかし、これは古いねじ継手という耐震性の低い管種に集中し、現在採用されているメカニカル継手、ポリエチレン管、溶接鋼管、フレキシブル管には異常はなかった。(新潟県中越地震でも、被害のほとんどはねじ接合管に集中。溶接接合鋼管、ポリエチレン管は被害なし、耐震メカニカル継手、ダクタイル鋳鉄管は軽微な被害だった。)
  • ネジ継手は、切土・盛土で被害大だったとされている。
  • ガス導管耐震設計指針を満足する耐震メカニカル継手を用いた鋼管、ダクタイル鋳鉄管の被害も極めて軽微なものであった。ポートアイランドや六甲アイランドでは、大規模な液状化が発生し、地盤沈下が生じたが、ガス漏れが無かった。建物の引き込み部に用いている不等沈下用継手が、今回の地震に対し有効であった。

 このような結果を受けて、上述したように、大阪ガスをはじめとして各地域においてガス会社は、さまざまな対策を取ってきました。しかしながら、さまざまな要因が重なって、想定外の事態が起きることも考えられます。少しでも二次被害を防ぐために、個々の皆さんのご協力も必要となります。下記のページで、もう一度、自分が知っておくこと、やるべきことをもう一度、ご確認ください。
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 阪神・淡路大震災では、都市ガスの復旧までに、約3ヶ月の日時を要しました。


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