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阪神・淡路大震災で、プロパンガス(LPガス)は、転倒、家屋等の下敷きになるも、火災ゼロ

 プロパンガス(LPガス)は、各戸に配置されていて配管とプロパンとの距離が短いこと、プロパンについている容器バルブを閉めれば、ガスを遮断できるという大きな長所をもっています。
 阪神・淡路大震災では、次のようなことが起きました。

  • 被災地内で10市10町で約235,800世帯がLPガスを使用。うち、家屋の全・半壊を含め、安全点検や危険箇所からLPガス容器の撤収を要したのは162,700世帯。兵庫県プロパンガス協会では「兵庫県南部地震LPガス対策本部」を設置してローラー作戦を展開した。
  • 直後から消費者から「ガス臭いから見に来てほしい」「ボンベがガレキの下に見える。早く取り除いてほしい」などの電話が殺到した。住民が対応できる場合には「ボンベの元栓を閉める」よう依頼。家屋が倒壊して漏れの危険がある現場には、係員が出動した。
  • プロパンの転倒、家屋の下敷きなどが見られたが、高圧ホースはそのまま切れなかった。
  • LPガスに起因する火災は、なし。
  • LPガスに起因する事故は、震動により配管の継手部が欠損し、漏れたLPガスの小爆発により1名が2週間の火傷という1件のみ。LP販売業者の迅速な対応のほか、安全機器の普及率98%であったこと、大半の激しい震動で家を飛び出したとき、容器バルブを閉めたことによる。
  • ローラー作戦で点検したことで、早い家庭では、震災当日からLPガスの使用が可能になった。
  • さらに、
    • 病院、各市町の災害対策本部から要請のある緊急性のものへの対応
    • 避難所で使用する炊き出し用、暖房用のものへの対応
    • 一般家庭で使用される炊事用のものへの対応
    • レストラン、飲食店、喫茶店など、業務用需要家への対応
    が進められた。
  • 「ガスを売ってくれない」という苦情があったが、売らないのではなく、配送ができないことによるもので、できる限り、取りに来てもらうことになる。

プロパンガス

各戸に置かれている
プロパンガス

 このように、プロパンガスの長所が活かされたことから、ガス漏れによる火災もなく、復旧も早かったといえます。そして、避難所など、すぐにガスを必要とする場所に、速やかに提供され、災害に強いことも示されました。

 ただし、心配なこともありました。直接の各戸に設置されていたプロパンは速やかな対応もあり大丈夫だったのですが、LPガスを貯蔵しておくタンクからガスが漏れ、大騒ぎとなりました。詳細は、次のとおりです。
 地震の次の日、18日の午前6時、激しい液状化現象によってLPガス貯槽(液化石油ガス(LPG))からガス漏れがあり、安全値を超えたことで東灘区のほぼ西半分と六甲アイランドの住民に避難勧告が発令されました。対象は約7万人でした。しかし、現場と災害対策本部の連絡が混乱し、避難の範囲、発令時間、解除時期などが住民たちに行き渡らなかったり情報が錯綜するなどして、大混乱となりました。結局、避難勧告は、LPGの移送開始および警戒体制の整備に伴い1月18日夕刻に一部解除され、最終的には1月22日午後14時30分に全面解除されましたが、後に、周辺住民が避難先から帰宅したあとも漏出が続き、6日間にわたって誘爆発の危機が続いていたことが明らかになった、という報道がなされたり、車がガス爆発の着火源になる危険性は認識されていなかったので、多くの人が車を使ったことなどが報告されています。
 運良く、大きな事故にはならなかったものの、この点においては多くの課題を残している、といえそうです(詳細は以下)。
  LPGガス漏れに関する事態を、もっとくわしく >>

 阪神・淡路大震災では、プロパンガス(LPガス)の復旧までに、約2週間の日時を要しました。


主な参考資料 :
「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」 
  内閣府・(財)阪神・淡路大震災記念協会(一部編集)   
 ※ 上記、資料に記載されている参考文献の一覧はこちらから >>
NEVER GIVE UP 阪神・淡路大震災 復興への対策と教訓
NEVER GIVE UP II 阪神・淡路大震災 LPガスの活躍

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